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2023/10/20
【Experts Review ∥ 登坂亮太 】: M88を長年愛用し、様々なトップアーティストのコーラスをしてきた登坂亮太氏がべイヤーダイナミックとの関わりやエピソードを語ってくれた。
“本当にそれまでにない歌いやすさを感じて、自分がうまくなったような気がしたんです”
ベイヤーダイナミックとの出会いは?
登坂亮太:僕が音楽を始めたのが28歳の時で、それまでサラリーマンをやってたんですよね。ある日、親に呼び出されて「人生1回なのに何か本当に自分のやりたい事を見つけないままでいいのか?」っていわれてから脱サラして自分の音楽人生が始まったんですよ。
普通は逆ですよね。。。(笑)
それで当時、吉祥寺のカフェレストランで働きながら、ボイトレのプロ育成コースに通ってました。
その時に僕が働いていたカフェレストランのオーナーとMr.Childrenの桜井和寿さんが繋がりがあり、お食事に来られることがあって、自分の音源ができた時に桜井さんに聴いて頂ける機会があったんです。
聴いて頂けるだけで光栄ですし、それ以上は本当に何も考えてなかったのですが、その後桜井さんからご連絡を頂いたところがプロの現場の始まりとなりました。
2005年のap bank fesの際、Bank Bandのリハーサルの為の仮歌シンガーとして、井上陽水さんのリハーサルの際にPAチェックで歌わせてもらったときに、本当にそれまでにない歌いやすさを感じて、自分がうまくなったような気がしたんです(笑)
このマイクなんだろうってみたらそれがM 88だったのが最初のベイヤーとの出会いでした。
その当時、自分の声質はピアノと歌とかのシンプルな構成のアコースティックライブの方が長所を発揮しやすいと感じていました。
バンドだと声が抜けていかないことに悩んでいた時期でもありました。みんな何かしら自分の声ってコンプレックスというか、ないものねだりみたいなものがあると思うんですよね。
その中でもM 88を使ったときは、バンドサウンドに埋もれる事なく自分の声が通っていくのがわかって、豊かな低域部分とファルセットもしっかり抜けていくような感覚で「アレ?自分、こんな歌上手かったっけ?」と音楽をやって本当に初めて思った瞬間でした。僕は小さいころからずっと陽水さんが好きで聴いていたので、本当に最高のタイミングでの出会いでした。
“自分の実力以上に自分の声が良く聴こえるし、歌いやすいからパフォーマンスが上がる”
M 88をその後もずっと使い続けている理由は?
登坂亮太:2006年にこのM 88を買ったんですけど、当時僕としては音楽で食べていけるか不安でもいたので、マイクに7万円(当時)はかなり勇気のいる投資だったんですよね。
2005年に出会ってびっくりしてから約1年くらい、ずっとあの時の感覚が忘れられず気になっていて、やっぱり買うことにしました。(笑)
周囲のミュージシャン達にも「楽器だったら全然安いくらいですよ!」とも言われて、(ああ、確かに。。。)と思ったのもありました(笑)
それからライブハウスとかでM 88を持ち込んで使う際に、PAさんから「そのマイク何ですか?めちゃくちゃ音いいですね」って言われるようになりました。
コンデンサーマイクみたいとも言われた事もありました。僕自身もライブハウスや、自分たちでアコースティックライブ等で演奏を重ねる度に周囲と比べて「こんなに違うんだ。。。」と改めて実感しました。
一緒にやるギタリストやボーカリストに、よく「亮太さんのマイクだけ音質が違う」と言われた事もあります(笑)
自分の実力以上に自分の声が良く聴こえるし、歌いやすいからパフォーマンスが上がるんですよ。自分のマイクをM 88にしてから、それ以前は使って来なかったテクニカルな事も気持ちいいから試せるようにもなったし、いい意味でチャレンジできるようになり、よりクリエイティブにもなれる感覚がこのマイクで一気に広がって、このマイクじやなきゃ絶対ダメってなり、持ち込みが難しい現場以外ではずっと使い続けてます。
“ハウりにくいし、声質はコンデンサーと変わらなく感じるし、最新の高機能コンデンサーハンドヘルドマイクと比べても、相性がばっちり僕の声質とハマった”
他にもいろいろなマイクを試してきた中でもやっぱりM 88がベストでしたか?
登坂亮太:ここ10年くらいの間でいろいろなハンドヘルドのコンデンサーマイクが出てきたのでいくつか試しました。
ダイナミック型に限らず、コンデンサー型もいいマイクが多かったのですが、どんなに良くても音質的にはM 88と変わらないように感じました。
それに加えて、コンデンサーなんで取り扱いが敏感でシビアだし、スタージ上だとハウリングに気を使わないといけないので、そう考えたら結局M 88のほうが良いというところに落ち着くんですよね。
ハウりにくいし、声質はコンデンサーと変わらなく感じるし、最新の高機能コンデンサーハンドヘルドマイクと比べても、相性がばっちり僕の声質とハマったってのもあり、この17年目のM 88がやっぱり大好きです。
17年間いろんな現場に参加させて頂き、様々な機材で勉強させてもらったり、経験や体験、知識もそれなりに積んで来た上で、やはりM 88はいいなって思うんです。
登坂亮太 | プロフィール
ヴォーカリスト、音楽プロデューサー、作詞作曲家、ボーカルディレクター。音楽制作Eat on_代表。Mr Children「HOME」ツアーやap bank fes、BankBandでコーラスを務める。
● 主な適応楽器
ボーカル/ギターアンプ/キックドラム/パーカッション/サックス
● 主な使用環境
レコーディングスタジオ/リハーサルスタジオ/ステージ
● 特長
・バランスのとれたサウンドプロフィールと深みのあるベーストーン
・ハイパーカーディオイドにより高い音圧レベルに対して鈍感で、ハウリングにも強いのが特徴
● マイク周波数特性
30 – 20.000 Hz
*写真は今秋展開予定の新デザインのもの